外 国語学習の科学 〜第二言語習得論とは何か〜

白井恭弘
(岩波新書 新赤版1150)   2008年9月19日発行
# ISBN-10: 4004311500
# ISBN-13: 978-4004311508


どうすれば外国語が「身につく」のだろうか?

 外国語を使えるようになりたい、「ネイティブ並み」とはいわなくても、口頭であれ、文章であれ、引け目と緊張を感 じずに外国人とのコミュニケーションが できるとよい……と思う人の多さは、数々の学習書や(とりわけ英語の)語学学校、学校での早期教育をめぐる論議からも明らかでしょう。そして、なかなかう まく行かないことにがっかりする人も、かなり多いはずですね。

 そうした学習のための各種のメソッドや「コツ」は、果たしてどれだけの科学性を持っているのでしょうか。「日本人は外国語が苦手」「やはり子供のうちか らでないと」「どうしても必要なら何とかなるんじゃないか」といったことも、何となくそんな気がする、という印象の域を出ていません。

 本書が紹介する「第二言語習得(Second Language Acquisition=SLA)」論は、比較的新しく、1960年代に始まった研究分野です。言語学、心理学、認知科学などの成果と連携しな がら、「外国語を身につける」という現象を科学的に解明し、ひいては効率的な外国語学習の方法を導き出すことを課題とする、実践的な要請の強い学問分野だ といえるでしょう。

 著者はこの分野について、もっとも先進的な位置にある研究者の一人ですが、読みやすく、どこかユーモアさえ感じら れる語り口で、第二言語習得理論の成果 を一般向けに紹介し、それを生かした実践面のヒントまでを提供しています。あわせて、外国語教育・日本語教育に志す人たちにとっても信頼できる入門書とな るように工夫をこらしました。                                                                                                                                                                   
                                                                                                                                                  (編集担当者の紹介文ー岩波書店HPより転載)



 


外 国語学習に成功する人、しない人 岩波科学ライブラリー 100


新刊紹介:白井恭弘 著

『外国語学習に成功する人、しない人 −第二言語習得論への招待− 』

 

佐々木嘉則(お茶の水女子大学)

                                                                                       

書誌情報  白井恭弘(2004)『外国語学習に成功する人、しない人

               −−第二言語習得論への招待−−』

  岩波書店 128ページ ISBN 4-00-006600-5  1155円(本体1100円)

4年前のシドニー オリンピックで不振にあえいだ日本代表選手団が、今夏アテネで一転して快勝を連発した光景はまだ記憶に新しい。空前のメダルラッシュをもたらした原動力の 一つが高度な戦技・戦術と科学的なトレーニング方法の数々であり、その開発の立役者が国立スポーツ科学センター(2001年開所)を中核とするスポーツ科学者陣であることは 関係者の間で広く知られている(日本は格段の メダル増」2004)。岩波科学ライブラリーの100 冊目として今秋刊行された白井恭弘氏(コーネル大学准教授)の『外国語学習に成功する人、しない人』は、今やアスリート育成に不可 欠の理論的支柱となったスポーツ科学に第二言語習得論をなぞらえ、外国語能力を効率よく向上させるために第二言語習得論のどのような知見が援用できるか、 今後さらにどのような研究が必要か、という観点から関連する重要学説や発見を紹介したSLA入門書であ る。

著者のこのような 実戦志向の視点は、次の章立てにも如実にあらわれている。

 プロローグ

 第1章 日本人 はなぜ英語が下手なのか――その1 動機づけ

 第2章 日本人 はなぜ英語が下手なのか――その2 母語の影響

 第3章 外国語 学習に成功する人、しない人

 第4章 外国語 が身につくとはどういうことか

 第5章 どんな 学習法なら効果があがるのか

 付録  知って おきたい外国語学習のコツ

本書は習得研究の 社会的背景や基本概念の平易な解説から説き起こして先端的な研究の紹介にまで及んでいるので、特に学部レベルのSLA概論授業の導入教材として強く薦められる。学習習慣の 身についた学生を対象にするなら、開講冒頭の3〜4回の授業で本書を通読させ、主要な論題の所在をひととおりつかませてから例えば小柳(2004)、迫田(2002)のようなより標準的な教科書に進むと、個々の知見を分野全体 の中で的確に位置づけさせることが容易になろう。現職の外国語教師も、第二言語習得研究の概要を知るためにはまず本書をひもとくのが早道である。

運動部員、日本 語・英語教師、留学生としての著者の多彩な体験談に加え、随所に挿入された著名アスリートや人気俳優の写真が親しみやすさを増しているのも本書の特徴の一 つである。専門家のみならず、「使える外国語」を身につけたい社会人・大学生や中高生、あるいは我が子を外国語ペラペラに育てたいと願う父母にとっても、 楽しみながら読み進められる格好の啓蒙書となろう。これまでに日本で出版された外国語学習のノウハウ本といえば、外国語に堪能な同時通訳者や外国文学者な どがめいめいの経験と思い入れを語ったものが主流を占めていた中で、教師経験や海外在住歴も豊富な気鋭の習得論研究者である白井恭弘氏が、その実体験と最 新の研究成果を踏まえつつ英語学習や日本語学習の例をあげて効果的な学習方法(「どんな学習法なら効果があがるのか」)を理詰めで説いた本書は、「外国語 勉強法もの」の出版ジャンルにおいても新機軸の一冊といえる。

従来どちらかとい えば特殊な研究分野とみなされ一般読者の関心を集める機会の少なかった第二言語習得論であるが、本書の出版を機にその成果が広く世に知られ、教育実践や言 語政策立案への活用がさらに進む第一歩となることを切に望みたい。

 

参照文献

小柳かおる(2004)『日本語教師のための新しい言語習得概論』ス リーエーネットワーク

迫田久美子(2002)『日本語教育に生かす第二言語習得研究』アルク

日本は格段のメ ダル増…ロゲIOC会長が称賛」(2004/8/27)『読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/athe2004/news/20040827ie48.htm

                                                      

   (第二言語としての日本語の習得研究』 7号より転載)

授業の教科書・参 考書として使われた大学

大阪府立大学
駿河台大学
高知大学
山形大学
上智短期大学
津田塾大学
恵泉女子大学
広島大学
東京大学
お茶の水女子大学
関西外国語大学
法政大学
宮城学院女子大学
名古屋大学
福島大学
共愛学園前橋国際大学
フェリス女学院大学
武蔵大学
釜山外国語大学(韓国)

入試、資格試験など


京都産業大学(推薦入試)
創価大学(大学院入試)
日本語教育能力検定試験

書評掲載

新英語教育 2005年9月号
使える英語の学び方 2005年3月17日
英語教育 2005年3月号
認知科学 2005年3月号
月刊言語 2005年2月号
日本語学 2005年2月号
月刊日本語 2005年1月号
第二言語としての日本語の習得研究 2004年 (Vol.7)

韓国語版


Handbook of East Asian Pscyholinguistics: Volume 2, Japanese

The Acquisition of Lexical and Grammatical Aspect

The L2 Acquisition of Tense-Aspect Morphology


                                                                                                                                                                                                                Back



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